介護者死亡の高次脳機能障害者ら、代わり「いる」は2割弱 NPO調査(産経新聞)

 病気や事故などで脳に重い障害を負った人たちの介護で、親ら介護者の亡き後に代わりとなる人がいるのは2割弱にとどまることが10日、患者や家族を支援するNPO法人「大阪脳損傷者サポートセンター」(大阪市)などのアンケート調査で分かった。家族らが直面する厳しい介護生活や将来への強い不安感も浮き彫りになり、今後、支援制度の充実などを関係機関に働きかけていくという。

 調査は昨年9〜11月、「頭部外傷や病気による後遺症を持つ若者と家族の会大阪支部」や「堺脳損傷協会」などの府内在住会員らを対象に、大阪府立大の協力を得て実施。記憶が保てないなど「見えない障害」ともいわれる「高次脳機能障害」92人、長期間にわたって昏睡(こんすい)状態が続く「遷延(せんえん)性意識障害」41人の計133人の家族らが回答した。

 調査結果によると、主たる介護者は母親(68人)と配偶者(46人)で85%以上を占め、介護者の平均年齢は約55歳だった。

 将来、介護が困難になったときのための準備を「考えている」「している」人は36%の48人にとどまり、主たる介護者が死亡した際などに代わりが「いる」のは19%の25人にすぎなかった。その多くが「本人の兄弟」を想定していた。

 また、自由記述欄には「今が精いっぱいで先のことまで考える余裕はない」「後を任せる人がおらず、看取ってから逝きたい」「介護の疲労で鬱(うつ)病(びよう)になった」「年を重ね、十分な介護ができない」といった、将来に対する強い不安や介護生活の疲弊などを訴える切実な声も。グループホームなどの施設や在宅生活が可能な制度の整備、相談体制の充実や就労支援、障害への理解などを求める意見も多かった。

 今回の調査を担当し、14年前から高次脳機能障害の夫(47)を介護しているNPOスタッフの石橋佳世子さん(44)は「いつかは直面する問題とはいえ、できれば正視したくないというのが家族の心情だが、想像していた以上に厳しい現実が明らかになった。病気や事故で誰もが当事者や家族になる可能性がある。多くの人にこの状況を知ってもらい、社会全体で考えてほしい」と話している。

 高次脳機能障害や遷延性意識障害の人たちの「親亡き後」を考えるシンポジウムが22日午後1時半から、大阪府高槻市の高槻現代劇場で開かれる。

 第1部は、調査結果の報告をはじめ、長期にわたって子の介護を続ける親の訴えなど。第2部では、愛知県豊橋市にある高次脳機能障害者のグループホームの紹介などがある。500円。問い合わせは大阪脳損傷者サポートセンター((電)06・6562・0031)へ。

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